2009年10月25日講演会  質疑応答(大和市総合福祉センター)

人工弁に血液が付着すると症状が出ますか?

 質問者1 倉田先生にお聞きします。先ほど人工弁に血液が付着するということで、そうした場合は症状が出るのですか。
 
倉田先生 付着してそれがどうなっているか見たことがないんです。もちろん動かなくなれば当然症状も出てきますけれど、今までの経験で実は片側が人工弁で機械弁の場合は二つあります。片側のディスクの動きが悪くなって症状がないままに気づかれたという方がいました。その方は検査でわかりました。
 
質問者1 どういう検査をするんですか。
 
倉田先生 エコー検査と、あとはレントゲン検査です。ご自分の自覚症状が軽く、なくても、多角的にはレントゲン写真で多少うっ血が出てきたりとか、心不全の兆候がやっぱり出てきました。ですから定期的に受診されているということは大変よいことだと思います。ちゃんと診ていただいているからこそわかったんだと思います。
 
質問者1 わかりました。ありがとうございます。

インフルエンザの予防接種は心臓患者は証明がいるのですか?

 質問者2 南淵先生にお世話になっています。インフルエンザのことです。テレビなどでは持病を持っている人は心臓の先生に許可をもらって証明書を出してくださいと言われているんです。この前、ちょっと診察してもらったとき、それは口頭でもいいんだと言われたんです。証明書が必要なのかどうか。実は季節性と新型インフルエンザの両方を受けたいと思います。近所の医者に、証明をもらってこいと言われたんですが、ほんとのところ、どういうふうにしたらいいのか教えてもらいたいのです。
 
南淵先生 これは今の質問をいただいた方だけでなくて皆さんの関心事だと思います。どのようなインフルエンザに限らず、予防接種でも問診票というのがあって、最後には医者が大丈夫だと思ったというサインが要るんです。それはインフルエンザであれば、インフルエンザの予防接種するところです。今のお話ですと十分あり得ることです。一般の開業医さんがインフルエンザの予防注射をしますよということで行ってみた。そしたら「心臓病があるんだったら、心臓病の先生のところでよく診てもらってください」ということで、悪く言えば、そこの開業医の先生たちが責任転嫁する。自分で責任とりたくないんですね。でもインフルエンザの予防接種する人は持病がある人が優先だと言われて、状況としては矛盾してしまっています。
 つまり病気がある人が打とうと思うと、例えば透析もそうだと思います。あるいは肝硬変だとかリュウマチだとか、がんの化学療法をやっているとか現実にそういった人たちがたくさんいる。そういう人たちが一般の開業医さんのところで打とうと思うと、実際に開業医の人たちは二の足を踏んで、もともとの病気が悪化すると大変だということになってくるというのは非常に想像にかたくないんです。
 現状では、インフルエンザの予防接種、特に新型に関してはみんな非常に気にしていることがあります。さらに物がないですから。今のところ日本中どこでも、医療従事者しか打てない。医療従事者でも全部に行き渡ってないという状況です。現実に今、質問された方が予防接種を受けようと思っても新型は受けられないわけです。
 季節型のものということになると、同じように開業医さんが、心臓病があるんだったらそこで証明書をもらえということになるかもしれませんが、証明書ということになると現実にそれは様式のものがないし、そういう証明書と言われても、その医療機関は困るわけです。うちの病院がどうのこうのと言うわけじゃないんですが、よそでよくあると思うんですが、眼科の手術を受けるので大丈夫かどうか。大和成和病院で手術を受けたんだったら南淵先生のお墨つきをもらってこいと言われるわけです。その眼科の手術をする人の力量を知らないわけで、もしかするととんでもない低レベルの医者かもしれない。そんな医者の責任を何で僕がとらなきゃいけないんだと思うわけです。
 ですからその開業医さんに関してもそんなところの事情がよくわかって自信がある、あるいはとにかく僕ら医療人は目の前に来た患者さんとのご縁で、とにかくその目の前の患者さんの一つの人生の劇場の中で医者というのは大きな役割を果たさざるを得ないわけです。ところが、今の質問をされた方の話によると、その開業医さんというのは通行人でいいと考えているわけです。重要な役割をもらいたくない。そういう方は、はなから信用しないほうがいいんじゃないでしょうか。(笑)
 ですから、そういう意味で歯医者さんでもいえることです。「あなた、心臓の病気をして薬をもらっているんだったら、止めたほうがいいんじゃないの。お医者さんのところへ行って聞いてきたら」そういうあいまいな、いいかげんなことを言う医者がいたりするわけです(笑)。今ここで質問されるようなことを、まともな開業医の先生だったら、「なるほど、よくわかりました。私が何とかしましょう」と言ってくれるはずです。証明書を出せとか、そんなやくざが交通事故を起こすような、そんな訳のわからないことを言うようなところにはもう行かない(笑。)これでいかがですか。
 
質問者2 はい、わかりました。
 
倉田先生 つけ加えます。恐らく市町村とか自治体単位で多分変わってくると思います。厚労省のサイトを見ると、先ほどの質問は今、南淵先生がおっしゃったように、証明書というのが実際にコンピューターでインターネットを引くと出てくることは出てくるんです。こういう基準で、こういう心疾患のある人はこういったリスクファクターがありますと証明しますよと、医者の名前を書いて、判こを押す様式が出てきます。厚労省はそれをホームページに載せただけで、具体的に私たちのほうに、これで発行しなさいという連絡が何もないのです。
 医師会を通じても、自治体を通じても、保健所を通じても、市立病院からも何も言ってこないのが現状です。ということはどういうことかというと、全く何も決まってないのです。これは多分12月ごろ実際のインフルエンザのワクチンが、ちまたに出始めたころに、いきなり言ってくると思うので、それをお待ちいただくか、もしくはその自治体に属した保健所とか市立病院のほうに直接聞いていただくのが一番確かかなと思います。すみません、私たちのほうにも情報が全然ないのが現状です。

朝30分ぐらい運動してますが、どのぐらいが適当な運動量ですか?

 質問者3 昨年12月1日に手術を受けました。生体弁の取り替えとバイパス手術をして、当時81歳だったんです。現在ワーファリンを3錠から2錠に減らして飲んでいます。ただ、手が時々、指が曲がらなくなる症状がたまにあるんです。朝30分ぐらい運動してるんですが、どれぐらいが適当なものですか。その辺を教えてください。武藤先生のときは、できるだけたくさん運動をしなさいと言われたんですが、今かかっているお医者さんは30分でもちょっと多いなという感じでおっしゃるんです。その辺もちょっと。
 倉田先生 適当な運動って非常に難しいですよね(笑)。まず、つらくない運動と考えてください。ご自分でつらくないという運動が一番です。まずそれが最初だと思います。手の症状とかその辺に関して、僕も今、診察しているわけではないのでわからないんですが、話をお聞きする中で手の症状はよくなったり、悪くなったりということは何かしら疑わしいのは首に問題があるとちょっと怖いですね。首の症状や手の症状は首から来ることがあります。
 私たちは心臓のリハビリ、肺の呼吸のリハビリとなると、まず運動は足から、歩くことからやってくださいと言うんですが、歩くということで首に負担がかかる方がいらっしゃるんです。背骨が曲がったりとか、腰がゆがんだりしたら、すぐ首に来ます。足のほうは動けるんだけれど、首が固まってしまって手が動かなくなると、これは足は動けてもやってはいけない運動になってしまいます。だからまず確認していただきたいのが、心臓や肺のことを考えると、どんどん歩いてくださいと武藤先生のように僕も言いたいんですが、調べていただきたいのは、首のほうを整形外科の先生に聞いていただくのがいいんじゃないかと思います。それからにしたほうがいいかなと思います。
 
質問者3 実は整形外科で毎日治療を受けてましてね。足と首に電気をかけているんです。そのせいか、手がしびれたりなんかするときは電気をかけてますが、それでよろしいんでしょうか。
 
倉田先生 そうですね。まずそうするとバロメーターがどこにあるかというと、首の症状が出てきたらストップですね。今はそれ以上やってはいけないということをいっていますので、そういうふうに考えていただくのがいいと思います。
 南淵先生 僕は倉田先生みたいに賢くないので、あまり論理的に言えないです(笑)。要は何でこんなところにこういう質問が出るかというと、ほかに質問する人がいない、あるいは聞いてもわからないということで。今の質問だと、だれもなかなか答えにくい。今の倉田先生の説明にうんうんうなずいていらっしゃいましたけど、多分同じことを明日聞くでしょう、だれかに(笑)。だからそういう問題なんですよ。要は人間の体はなかなか論理ではうまく言い表せないという。
 我々医療機関というか、医療の人間として何をすべきかというと、もちろん医学的な見地からのいろいろな話。倉田先生が言った首の話ですね。非常に理にかなっています。それからメチコバールという絶対効かない薬も効くかもしれません。神経の薬です。この中にも何人も飲んでる人はいると思うんですが手がしびれる。じゃあ、メチコバール。それ以外にお話を聞いて、一体どういうことなのか。あるいはご本人の心に潜んでいるそういった欲求。なぜ運動をしたい、あるいはしたほうがいい、あるいはしなくていい。そのあたりのところですね。
 察するところ、やっぱり何でもためになることはやりたいという意思が満ちあふれた方でいらっしゃると思います。手がしびれるとか、胸が痛いとか、疲れる云々。そういったことを一つ一つとらえても、一つ一つの確認、ハードルを越えて問題解決したとしても、全体の解決にはならないのかなと思ったりします。まあ、そんなことです。

バイパスした血管が癒着するとはどういうことですか?

 質問者4 去年の6月にバイパス手術を受けた者です。先ほど南淵先生から、バイパスした血管が癒着するという話を伺いました。それはどういうことなのか。それはどういう症状が出るのか。またそれはどういうふうにしてわかることができるのか。またわかったとして、じゃあ、どういう処置が必要なのか。その癒着についてお伺いしたいんです。
 
南淵先生 癒着に関して言いますと、この会場にいらっしゃる方は全員癒着しているわけです。人間の体は切って傷ができますと、臓器と臓器がくっついて必ず癒着するということです。癒着は特に問題にはなりません。
 先ほどお話しした例というのは2回目の手術をするときです。それをまた開こうとするとき。最初の手術のときは服を脱ぐように、皮膚を切って、骨を開けて、心膜を開けて、心臓が出てくるという順番でそれぞれがくっついてないんです。ところが2回目の手術は全部くっついている。それが2回目の手術のときに大変であると。ですからこの中にいらっしゃる患者さんは一人残らず大変です。2回目の手術をするときはほんとに事ですね。でも1回目と2回目の手術の値段は同じですけど(笑)。とにかく2回目の手術は大変だということです。だから1回目の手術を終わって、皆さんは癒着してます。癒着自体は何も問題はないです。次にやるかどうかしたときに問題があるということです。
 強いてもう一つ言えば、カテーテル治療をやることがたまにあると思います。例えば吉村さんです。先ほど、おっしゃっていましたね。バイパスの患者さんです。バイパスしてない部分が詰まっていると。これを吉村さんがさっき言い忘れたんです。さっきの話ですと、僕のバイパス手術が全部詰まっちゃったみたいな話だったんです(笑)。実はそうじゃなかったんです。でも吉村さんは2回目の手術じゃなくて、カテーテル治療をやりました。カテーテルの治療をご存じだと思いますけど、風船で血管を広げます。まれにですがそのときにバキッと血管が破れて出血することがあるんです。それが癒着していますと全然わからないんです。
 要するに、ひっついているから、周りがべちゃっとくっついているから、血管が破れても血液が外に行きようがないんです。これはいわば、まさにけがの功名であるんですね。文字どおり、けがの功名です。ですが、今の癒着という言葉に関して何か自分に襲ってくるネガティブなマイナスの印象、病魔という印象でとらえられたかもしれません。大変申し訳ないのですが、皆さんには既に全員に癒着があるのです。
 これはもう一つ、例を挙げれば、おなかの手術を昔やって、例えば盲腸で腹膜炎になった。そして10年、20年たって、あるいは帝王切開でもそうです。腸閉塞になる。これは腸がほんとは9メートルあるのがぐにゃぐにゃに入っているわけです。そういった手術で一部分がくっついて癒着して、それが原因で腸がぽきっと折れちゃって詰まるという事態です。だからおなかの場合は1回手術をすると、そうやって腸閉塞という事態が起こる可能性はないわけじゃないです。
 しかし、ほんとに最初に申し上げたように、僕らは皆さん方に心臓の手術で大変申し訳ないことを既に行いまして、それは皆さんがハンディだと考えるのであれば、それはいたし方ないですね。もう申し訳ないと謝るしかないです。しかし、それによって大きなメリットというものがあったと確信しています。ですから癒着もそういった一つの勲章だと、皆さん、思っていただければと思います。よろしいでしょうか。
 
質問者4 はい、ありがとうございました。
 
司会 癒着をしても安心だということです。(笑)
 
南淵先生 いや、癒着しているから安心。(笑)

ワーファリンを飲んでいて、肝臓を悪くしました。皮膚に痒みも出ますが?

 質問者5 私は今から9年前に大動脈弁の置換を受けた患者です。その後、ワーファリン、それから不整脈の薬、利尿剤。そういう薬を飲んでいたら、だんだん肝臓を悪くしたんです。それで肝臓の先生に聞きますと、「それは当たり前だよ、薬は毒なんだよ」という答えです。
 もう一つは皮膚にかゆみが出るんです。私なりにこの薬の種類を勉強してみると、ほとんどの薬にかゆみが出ますね。それから肝臓に対しても影響が出る。それでもワーファリンは飲まざるを得ない。これは私もよく存じておりますが、こういうようにあきらめてよろしいのでしょうかね。(笑)薬に対して、皮膚科のある先生は、これはこういうことだと言って、内診書を書いていただいたことがあります。ところがその先生が「じゃあ君、この薬をやめていいのか」「うん」、「そうすると長嶋さんみたいになるよ」と、こういう答えなんです。お医者さんというのはやっぱりそういうものですかね(笑)。
 
倉田先生 弁は機械弁ですか。
 
質問者5 機械弁です。
 
倉田先生 大動脈弁ですね。
 
質問者5 大動脈弁です。
 
倉田先生 まず、今、お話にあった薬の中で、肝臓の機能障害が、恐らくワーファリンとそれから抗不整脈薬、この二つが関連してきてるんだと思います。果たしてそれが原因なのか。または肝臓病がベースにちょっとありながら、お薬が肝臓に負担を与えているのかによって多少話が変わってくると思います。肝臓病がワーファリンをやめない限り治らないということになると方法を考えなきゃいけないです。例えばほんとに究極な話、機械弁を替えるかという話まで行ってしまいます。ほんとにワーファリンが薬効として肝臓に対して原因をつくったのかどうかは、薬剤性の肝機能障害かどうかは大きな病院で調べていただく必要性があるんじゃないかなと思います。
 あと投与量です。ワーファリンが量依存性にたくさん飲んでいるから具合が悪いのか、それともワーファリンの量を減らしてワーファリンの効果を少し上げるようなお薬を併用してワーファリンの量を減らしてあげることで解決できるものなのかというのもやっぱり吟味しなきゃいけないです。肝臓の病態というのは心臓の機能にかなり影響を受けます。心臓が今、肝臓にちゃんと見合った機能が発揮できているかどうかも考えなきゃいけないです。そして今の肝臓の状態が、例えば機能が廃絶しかけているのか、ちょっとだけ悪いのか。
 それからかゆみというのもいろいろおっしゃいましたが、肝臓としての自覚症状が今はないわけですね。かゆみが問題だということになると、何かほかのアレルギー性の問題とかいろんなものもあるので、肝臓から来るかゆみなのか、薬によるアレルギーのかゆみなのかというのもまた考えなきゃいけないので、またそれは別の方向からのアプローチも必要ということで、一人のお医者さんだけで解決する問題ではないんじゃないかなと思います。大変だと思いますが、いろんな先生の意見を聞いたほうがいいかなと思います。
 
質問者5 数字を申し上げるのを忘れました。今、肝臓のGOTが90ぐらい、それからGPTが110ぐらい、それからγ−GTPが40ぐらいです。アレルギーの問題も診察をいろいろ受けました。これはほとんどないということです。
 
倉田先生 どう思われますか、白石先生。
 
白石先生 先ほどの話を聞いて、薬を飲んでいると、みんな肝臓が悪くなるみたいなふうにとらえられているのかもしれませんが、別に必ずしもそういうわけじゃないと思うんです。ほんとに薬が原因で肝臓が悪くなっているかどうかということも、γ−GTPが低いから恐らくアルコールはあまり飲まれないと思います。基本的には今のかかりつけの先生がお薬をやめれないというのは、やめる勇気がないだけです。その利尿剤にしても、不整脈の薬にしても、恐らくやめても大丈夫じゃないかなと僕らは思うわけです。
 血圧がもしもそれで高いようであれば、不整脈の薬よりも血圧の薬で不整脈を抑えてくれるようなものもあります。何か薬を変えるきっかけというのをどこかでつくったほうがいいのかもしれません。でも、ワーファリンはやっぱりやめることができないので、肝機能に応じてだんだん悪くなってくると……。今は何錠飲んでいますか。
 
質問者5 2錠半です。
 
白石先生 同じ2錠半を飲んでても、薬がどんどん効き過ぎてしまう場合もあるんです。肝臓の機能が落ちてくると、今まで2錠半でよかったのが、今度は2錠半で効き過ぎてしまう場合もあるので、そこら辺は注意しなきゃいけないです。薬を減らすということは、例えば開業医の先生に、倉田先生をご紹介してもらって、ちょっと薬をこういうふうにしたらいいんじゃないのというふうなことを後押ししてもらえば、その先生は自信を持ってやめれるんです。何の根拠もないわけでしょ、お薬をやめるというか、減らせるというのは。根拠は恐らくないと思います。だれそれさんみたいに、というぐらいの感覚でしかないわけなので、今の病状に応じた薬の調整というのは必要だと思います。
 
南淵先生 僕の想像するところによると、肝機能障害の程度があまりにも少ない。微弱。大したことない。全然ほとんど無視できるぐらいの値なんです。だから今おっしゃった白石先生みたいな、いやこれは大変だ、これだとほっとくと死んじゃうぞというレベルまで達してないので、割と薬の影響でしょうねぐらいで終わっているんじゃないかと想像します。こういう話はほかのお医者さんがどういうつもりで、どう言ったかというのはなかなか想像力を働かさないとできない話ですが、多分そういうことだと思います。
 GOT、GPTが90程度であれば、普通の薬を全然飲んでなくて、例えば変な物を食べたとかですぐ上がったりする量なんです。やっぱり300とか500とか行けば、これは大変だなという値です。かゆみとおっしゃいましたけど、90というレベルでかゆみとは絶対結びつかないです。かゆみと肝臓は全く別ですよね。こういう客観的な事実もあるんです。
 おっしゃるとおり、薬というのはすべて毒です。また同じく手術はすべて傷害行為です。同じように医療行為というのはすべて残酷な、残忍な、あるいは神や仏の意思に逆らう、とんでもない行為です。そういうことを自覚して、さっき白石先生がおっしゃったように、なるべく要らない薬は飲まなかったり。あるいはどうせ飲んでも効かないだろうというような薬は信心深く飲むとか、そういうふうに。(笑)
 あと、さきほどの方にも言えることですが、医者とはしっかりつき合ってください。みんな、いろんなことを言いますからね。それを楽しむように。どうせみんな違うことを言います。僕と倉田先生だって全然違う。倉田先生の言ったことでちょっと訂正したいのは、倉田先生は大きな病院に行きましょうと。大きな病院は絶対当てになりませんから(笑)。なるべく開業医さんの肝臓専門の方がいらっしゃいます。そういう職人の工房みたいな、そういうところに行かれると、やっぱりなかなか来てよかったなということになると思います。
 
質問者5 お話を承りまして、ほんとに気持ちがすうっとしました。どうもありがとうございました。(拍手)

サプリメントの使用はどう考えたらいいでしょうか?

 質問者6 倉田先生に18年の秋に弁を取り替えていただきました。それで今日の人工弁のお話の中で、特にカルシウムはとらないようにというご指示がありました。その後、サプリメント使用のお話がありましたが、サプリメントを、疲れちゃったから栄養剤、これだったら体にいいからと言われるとすぐその気になって買ってしまうのですがいかがなものでしょうか。これから飲んでいいのか、それとも先生の薬だけに頼って、病院の薬でやっていったほうがいいのか、それをお聞きしたいと思います。
 
倉田先生 さっきのカルシウムの話はどこかで皆さんが逆に耳にされるんじゃないかなと思って、お話をわざとしたんです。僕は実はカルシウムをとったから弁が悪くなるということは全くさらさら思っていません。ただ、要するに大きな勧告としてそれが載せられてしまっている以上は、多分、内科の先生方もそれに準じたことをおっしゃるんじゃないかと思います。
 ただ、通常のサプリメントでカルシウムをどのぐらい摂るかと言っても、欧米人の摂るカルシウムの量は日本人より全然多いですよね。普通の方が普通にカルシウムを、例えば骨粗鬆症の予防に飲むとかそういうことで、ぐあいが悪くなる、弁が悪くなるということは全く関係ないと僕自身は思っています。ですからカルシウムに関してはあまり気になさらないでいいんじゃないかと思います。
 それからサプリメントは正直、よくわからないのが多いのです。今日いらしているかどうかわからないですが、サプリメントでワーファリンのコントロールが悪くなったという方がいたんです。ただ、それは要するに食種の内容が不明です。業者に問い合わせても全くわからなかったというのがありました。
 通常、外来でも僕はお話しするんですが、有効成分としてあるものと、それ以外のものが含まれているというのが大体サプリメントとして扱われているので、関係ない未知の部分というものがどうなるかわからないから気をつけてください。まずやってみてワーファリンのコントロールが乱れるようなら、やっぱりやめたほうがいいと思いますが、問題ないんだったら通常はいいんじゃないでしょうか。
 
質問者6 先月、先生に診察していただいて、ほんとによくなってるよと言われてすごいうれしかったんです。ただ、今日それを勉強しまして教えていただいたときに、これじゃ余計なことをしたらいけないのかと思って。でも、人間は少しでもいいものを飲めば元気になれるかしら、という浅はかな考えでおりましたので、今日はほんとによかったです。
 
白石先生 サプリメントの話ですが、内科的にいうとサプリメントというのは食事の補助です。実は食事の中に先ほどの納豆の話もそうですが、納豆以外でもワーファリンに影響を及ぼすものがあるんです。昔、僕の患者さんでタマネギスライスがはやって、タマネギばかり食べてて、「先生、大丈夫ですか」「タマネギ、影響ないからいいよ」と言ってたんですけど、ワーファリンが今度は非常に効き過ぎたという人がいて、やっぱり偏食、偏った食事というのはよくないだろうと思います。サプリメントだけに頼るような食事じゃなくて、食事にプラスアルファするという考えであれば問題ないんじゃないかと思います。結局バランスだと思います。

不整脈の予防の薬はありますか?

 質問者7 白石先生にお聞きします。私は不整脈です。それで予防の薬はあるんですか。今は13種類を飲んでます。
 
白石先生 13種類?。
 
質問者7 ええ。(笑)
 
白石先生 13種類、食べてる(笑)。
 
質問者7 飲んでるんです。(笑)
 
白石先生 おなかいっぱいになりますよね(笑)。何の不整脈かわかりますか。
 
質問者7 いえ、わかんないんです。不整脈と言われているんです。
 
白石先生 かかりつけの先生とは話してますか。
 
質問者7 ええ、そうです。
 
白石先生 基本的にはさっきの南淵先生の話もそうですけど、やっぱり対話することが重要です。この薬は何のためにと聞けば答えてくれると思うんです。自分の不整脈は何かというのも、さっきもお話ししましたけど、ほっといてもいいような不整脈もあるんです。ほんとに治療しなければいけない不整脈であれば薬は必要になってきますが、放置しておいてもいい不整脈はあるわけです。そこら辺のところが、薬が予防するものがありますかと聞かれたときに、治療する必要があるかどうかということからいかなきゃいけないものですから、今の状況はかかりつけの先生とご相談いただいたほうがいいんじゃないかと思います。
 
質問者7 私はおふろで2回ひっくり返ったんです。会場で1回。それで冷蔵庫の前で1回(笑)。去年12月までに4回ひっくり返ったんです。
 
白石先生 それは何か入れなきゃいけないかもしれませんね(笑)。24時間の心電図とか、僕の外来に来てもらっても構いませんので、言っていただければと思います。
 
質問者7 はい、わかりました。どうもありがとうございます。